医師不足という医療業界の大きな課題

医療業界には医師不足という課題があります。
医師不足というより、正確には「医師の偏在」といえるかもしれません。

2004年に導入された「新医師臨床研修制度」により、研修医は研修先の病院を自由に選べるようになりました。
これまでは大学病院の医局の指示により、研修医は大学病院やその系列の地方病院に研修に行っていましたが、「新医師臨床研修制度」ができたため、研修医の多くが都市部の病院を選ぶようになったといわれています。
なぜなら、都市部の病院に勤務すれば、最新の技術や設備に触れることが可能だからです。
したがって、都市部の医師の数は確保されていますが、地方の医師が不足するという事態になっているようです。

そこで、この状態を改善するために、「新医師臨床研修制度」をなくし、研修医は一定の期間、地方の病院に行くことを義務付けたり、看護師や助産師などを積極的に育成し、医師の仕事の一部を看護師等でもできるようにすることで、医師の負担を減らすといった対策が論じられています。
また、医療のIT化を進めることで、作業の効率化を図ったりするという方法も徐々に浸透してきています。
都市部であれ、地方であれ、勤務医の過酷な労働状態を改善し、一定水準の医療サービスを提供できるようにすることが、医師不足の問題解決の大きな一歩になると私は思っています。
都市部と地方とで医療格差が起きないためにも、この問題はもっと注目されるべきことなのではないでしょうか。